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コラム 2013年05月25日

パチパチパチ・・そろばんの心地よい音、問題を読み上げる張りのある声、活気のある塾生たちの声・・私は これらの音に包まれて育ってきました。

祖父が1946年に教室を始めてくれました。
父や叔父・叔母が学校から帰って手伝い、母が嫁いできてからは、祖父と母が日中、会社から帰った父が夜間、という形で教室を続けてくれました。私は幼い頃、母の側にいたくて、そろばんと紙と鉛筆を持って教室に入って行き、塾生のお兄さんやお姉さんの間に座り、そろばんをガチャガチャさせては紙に何かを書いて、“習っているつもり”になっていたそうです。「わかりませ〜ん!」と言うと、母が側にきてくれる事に気付き、盛んに「わかりませ〜ん!」と言っては手を上げ、母も気をつけて他の塾生と同じように、教えに来てくれていたそうです。私は一人っ子ですが、塾生のお兄さん・お姉さんが お稽古が終わればピンポン等で遊んでくれたので、一人っ子の淋しさも知らず大きくなりました。とても恵まれていたと感謝しています。

そんな教室を1997年に受け継ぎました。同じ場所で長い間しているので、“おじいちゃん おばあちゃんが習っていたよ”とか“お父さん お母さんが習っていたよ”と、嬉しそうに話す子もいます。もちろん、そうでない子が多いですが、みんな自分の子供や孫みたいです。

教室を受け継ぐ事になった時、まず思った事は、“みんなが家族のような教室にしたい”と言う事でした。今の子供たちは兄弟も少なく、学校での人間関係もかなり厳しいものがあるようです。それだけに、うちに来てくれた時くらいは、安心しきって豊かな気分で過ごしてもらいたいと思いました。「自分のいい所だけ見てくれる。いけない所だけ注意してくれる。他の人とは比べられない。他の子達も自分を尊重してくれる仲間」と感じてもらいたい、そういう人間関係を築き、共に伸びていける場であって欲しい、と思いました。そろばんを習いに来ているのですから、珠算式計算法を身につけるのは勿論ですが、そろばんを習う事を通して人間として成長してくれるお手伝いが出来れば、と思いました。

また、“知る・学ぶ”と言う事は面白いのだと、ぜひ知って欲しいと思いました。 教室で子ども達に言う言葉は、“やってごらん”が一番多いかもしれません。楽しみながらチャレンジし続け、ふと気がついた時 どこまで上がっているか…。

インターネットや勉強会を通して親しくさせて頂いている先生方から、とても多くの事を教えて頂き、取り入れられるものを少しずつ取り入れさせて頂きながら、授業を組み立てております。今の所、塾生たちは、“そろばん、おもしろい!大好き!”と言ってくれ、嬉しいです。また、いつも温かく見守り、支え、協力してくれる家族にとても感謝しています。

大きくなって幼い頃を振り返った時、「そろばんを習っていたんだよ」と、ちょっぴり豊かな気持ちで思い返してもらえる教室でありたいと思います。


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